1. 公共職業訓練の離職者訓練に求められるもの

公共職業訓練の離職者訓練は、雇用のセーフティネット機能に加えて、労働力需給のミスマッチの拡大を解消するために実施しています。具体的には、求職者の方々が早期に就職ができるよう地域における企業の多様な人材ニーズ(求人ニーズ)を踏まえ、高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)の職業能力開発施設及び地域の民間教育訓練機関を活用した訓練コースにより、求職者に対して多様な職業能力開発の受講機会を提供しているところです。
これらの離職者訓練には、次のような訓練の信頼性と品質の向上が求められています。

  1. 地域の人材ニーズ(求人ニーズ)に応じて早期に就職ができる訓練
  2. 事業主、事業主団体等の人材ニーズに応じた訓練
  3. 地域の求人状況を勘案した訓練
  4. 地域の産業・業種の概況を勘案した訓練
  5. 地域の求職者ニーズを勘案した訓練
  6. 地域の求職者状況を勘案した訓練
  7. 訓練の管理と運営(PDCAサイクルによる訓練管理)が適正な訓練
  8. 習得する職業能力が担保できる訓練
  9. 顧客(訓練受講者及び訓練修了者を採用した事業主等)の満足度が高い訓練

2. 施設内訓練の訓練プログラム

施設内訓練の訓練プログラム策定に当たっては、次項が重要です。

  1. 訓練受講者が訓練で習得した職業能力による早期就職の実現
  2. 訓練修了者と事業主との雇用条件との間のミスマッチの回避(具体的には、訓練修了者が有する職業能力と事業主が求める人材に必要な職業能力との差の回避)

そのためには、地域の人材ニーズ調査を踏まえ、事業主が求める人材(採用を希望する人材)に必要な職業能力を的確に把握した上で、この職業能力を最短経路で習得できること、訓練受講者一人一人の職業適性を見定めつつ、その人が抱える就職に向けた不安を解消するキャリア形成相談や就職支援を盛り込むことが重要です。このほか、受講機会の拡大や多様な人材ニーズに対する弾力的な訓練対応が求められています。
機構は、これらの様々な訓練要件を満たす観点から、平成5年度より施設内訓練においてシステム・ユニット訓練方式を導入しています。
また、システム・ユニット訓練方式による訓練では、訓練受講者、訓練修了者を採用した事業主の満足度や訓練受講者の訓練習得度を適切に把握し、プロセス管理手法(訓練の信頼性と品質の向上に向けた運営管理手法)を導入して、訓練計画から実施、評価、改善に至るプロセスの各段階に応じた業務チェック項目(取組項目及び評価項目)により運営管理しています。

3. システム・ユニット訓練

システム・ユニット訓練は、6ヶ月間の訓練カリキュラムを教科編成する訓練方式の1つです。(離職者に対する短期課程普通職業訓練)
この訓練方式は、地域の企業等が求める人材に期待する仕事に必要な職業能力を効果的に習得できるよう、訓練目標、指導内容等から訓練カリキュラムを3日間単位(ユニット)、1ヶ月単位(システム)と3ヶ月単位(仕上がり像)に分け、これらを階層構造に組み合わせて編成します。(図1-1参照)

図1-1 システム・ユニット訓練の構成図
図1-1 システム・ユニット訓練の構成図

また、システム・ユニット訓練方式は、訓練期間が3ヶ月間毎(1つの仕上がり像毎)に受講機会を設定でき、さらに、システム及びユニットのカリキュラム・パーツを豊富に整備することにより多様化する人材ニーズに的確かつ迅速に対応できる特徴があります。(表1-1参照)

表1-1 システム・ユニット訓練方式による訓練の実施
表1-1 システム・ユニット訓練方式による訓練の実施

4. システム・ユニット訓練と職業能力開発体系との関係

職業能力開発体系は、職業能力の体系(「職業能力のものさし」を示す仕事の体系)と職業訓練の体系(「能力開発の道しるべ」を示す訓練の体系)とで構成されます。(図1-2参照)

図1-2 職業能力開発体系の構成
図1-2 職業能力開発体系の構成

職業能力開発の流れは、職業能力の体系において訓練目標となる「職務」、「仕事」、「作業」、「作業に必要な技能・技術、知識」を明確にした後(仕事の明確化)、自己評価により現在の職業能力を明確にして(能力の明確化)、習得すべき職業能力を明確にします(目標の明確化)。

図1-3 職業能力開発の流れ
図1-3 職業能力開発の流れ

訓練目標(習得すべき職業能力)が明確になった後、職業訓練の体系において、訓練カリキュラム等の訓練効果を考慮しながら段階的・体系的にシステム・ユニット訓練を編成し、6ヶ月間の訓練プログラムを構築します。

図1-4 システム・ユニット訓練と職業訓練の体系の関係
図1-4 システム・ユニット訓練と職業訓練の体系の関係

システム・ユニット訓練における仕上がり像とは、訓練期間が3ヶ月間の訓練目標であり、これは、求職者(離職者)が就職するために必要な職業能力のうち、職務に係る一定の仕事の遂行ができる“職業能力のまとまり”をいいます。具体的には、職業能力開発体系の職業能力の体系に示す1つ又は複数の「仕事」又はその主要部が遂行できるように設定します。このまとまりは、企業の理念、経営、業績に資する一定の目的を持って遂行する生産活動である職業能力の体系の「仕事」レベルに相当することから、就職に結び付くことが期待できます。

表1-2 職業能力の体系とシステム・ユニット訓練との対応関係
表1-2 職業能力の体系とシステム・ユニット訓練との対応関係

よって、6ヶ月間の訓練を修了した段階で、2つの仕上がり像と対応する2つ以上の仕事領域を持っていわゆる「多能工」として就職することができます。また、3ヶ月間の訓練を修了した段階で、やむを得ず中途退所した場合でも、1つの仕上がり像を活かして就職することも可能となります。
なお、「仕事と教科との関係」については、こちらから情報提供していますが、職業能力の体系とシステム・ユニット訓練との対応関係は、概ね表1-2のとおりです。

5. システムとユニット

システムとは、訓練日数が18日間(訓練期間が概ね1ヶ月間)、訓練時間が108時間を標準とする“訓練カリキュラムのかたまり”です。仕上がり像を3つのシステムに分け、それぞれに必要な技能・技術、知識に関する教科及びその内容を系統化し、システム編成シートによりシステム毎の訓練期間に応じた訓練の流れを示すとともに、この通過点における訓練目標として「訓練到達目標」を設けています。
またユニットとは、訓練期間が3日間、訓練時間が18時間を標準とする“訓練カリキュラムの最小単位”です。訓練到達目標を6つのユニットに分け、それぞれに必要な技能・技術、知識に関する教科及びその内容を系統化し、ユニットシートによりユニット毎の訓練期間に応じた教科別訓練時間数及び訓練の流れを示すとともに、この通過点における訓練目標として「到達水準」を設けています。なお、ユニットは、到達水準に示す技能・技術、知識を実技(課題の実習、演習、評価等)と学科(講義や説明)を適宜、組み合わせて指導し、訓練受講者が実学一体で習得できるように構成しています。

(参考) カリキュラムモデル分類表

各系ごとのカリキュラムモデル分類表を一覧で表示します。表示したい系名をクリックしてください。