大学校及び設置科 職業能力開発総合大学校 小平キャンパス情報技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 数学(微分方程式)、計測制御システム、データ構造アルゴリズム、ディジタル信号処理、オブジェクト指向プログラミング
課題に取り組む推奨段階 上記前提知識の大半を修得した段階
課題によって養成する知識、技能・技術

計測、制御、信号処理、オブジェクト指向プログラミングなどの具体的な使用方及び実際の役立方が修得でき、実践力、応用力が養成できます。また、実習書の作成により、説明の難しさを理解し、無駄がなく分かりやすい技術文書の作成能力を養成できます

製作の目的と概要

 課題の選定については次のことを考えました。ものづくりに応用できる形態としてコンピュータで他の機器を制御すること、情報技術科で学習した技術要素が多く含まれ、それら技術要素が役立つことが実感できること、さらに、結果が理解しやすく、学生が興味を持って取り組める内容であることです。そこで、コンピュータ音楽の演奏速度を制御するリズム同期システムを取り上げることにしました。
 一般に、人の楽器演奏とコンピュータ音楽演奏を合わせて行うとき、コンピュータ音楽に合わせて人が楽器演奏を行うことはできますが、人の演奏に合わせてコンピュータ音楽を演奏させることはできません。リズム同期システムはこれを可能にするもので、入力音楽演奏の進行状況を測定・観測しながら演奏速度を制御して演奏をあわせるシステムです。また、2つの音楽の演奏は、簡単な微分方程式であらわすことができ、どのような制御を行うと演奏を合わせることができるか、理論的に考えることができ、理論通りの結果が得られます。そのため、完成したシステムを使って、計測制御を学習するための実習テーマの1つにできるのではないかと考え、実習書を作成することにしました。

成果

 リズム同期システムは、コンピュータ、A/D変換器、MIDIインタフェースで構成しました。これにオーディオ信号の音楽を入力すると、それに合わせるためのMIDI同期信号を出力します。このとき、入力音楽演奏の進行状況を測定・監視しながら、演奏速度を制御してコンピュータ音楽演奏を合わせます。このシステムを動作させるため、A/D変換器のプログラミング、ディジタル信号処理、演奏速度の制御、測定誤差を考慮した制御定数最適化、MIDI同期信号出力プログラミング、スレッド、リアルタイム処理など、多くの技術要素を用いました。理論通り動作することが確認できたため、計測制御実習実施のための実習書を作成しました。実習書の内容は、音楽演奏の理論的な扱い、微分方程式の導出、微分方程式の解、実験値との比較検討、制御を行った時の微分方程式と解、実験値との比較検討とし、6時間程度でできる分量にしました。実際に計測制御実習テーマの1つに加え、作成した実習書を使って異なる学生に対して数回実習を行いました。実際に行うと、実習書を見ても理解できないという箇所が出てきました。明らかになった不備な点について補足説明を加えるという修正を何度も行うことで実習書が完成しました。
リズム同期システムと実習書の作成(H19)の画像1
図1 人の演奏にコンピュータ音楽演奏を合わせるための演奏速度制御