大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校 附属京都職業能力開発短期大学校染織技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 安全衛生、繊維原料、織物組織、製織、織物分解設計、織機・ジャカード機取扱い
課題に取り組む推奨段階 応用製織実習終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、主に紋織物装置の設計・製作、紋織物製作技術の実践力を身に付ける。

製作の目的と概要

 本課題では、奈良・正倉院宝物に遺されている文様をあしらった羅(ら)組織の織物、いわゆる文(もん)羅(ら)織物を制作することをテーマとしました。羅とは綟(もじ)り織りの一種で、中国・前漢時代(BC202〜AD8)に成立、我が国には古墳時代もしくは奈良時代頃に伝来し、高級織物として隆盛を誇りました。基本組織は網(あみ)綟りと籠(かご)綟りの2種があり、4本の経糸(地(ぢ)経(たて)と綟り経2本ずつ)が一組になって展開します。奈良時代からその製法が断絶する室町時代まで、どのような装置で織られていたのか、まだ完全には解明されていません。昭和になって京都・西陣の織工、研究者らによって、ジャカード装置を導入した新しい製法による文羅織物が復元・製作されました。
 今回の制作では、空引機(そらびきばた)の発展形であるジャカード装置を用いて、機拵(はたこしら)え装置をすべて自作し、文羅織物を実際に製織することにより、制作の手順を理解することを目標としました。

成果

 制作を通して、羅の製織は、織り傷の有無(綟り目を読む正確さ)、打ち込みの強さや幅の保持、経糸と緯糸の張力管理など、織り手の技能によるところが大きいと感じました。
今回は撚りの掛かった生糸を使用しましたが、正倉院宝物のほとんどはほぼ無撚りであることがわかっています。また、繊度(太さ)も非常に細く、今後これにどこまで近づけていけるかも課題です。そして同時に、より大きな文様への挑戦、またオリジナル文様への挑戦など、やってみたいことはいくつもあり、制作を通して得たことよりも、今後の課題の方が多く残った気がします。
ジャカード装置による文羅織物の製作(H19)の画像1
ジャカード装置による文羅織物の製作(H19)の画像2
ジャカード装置による文羅織物の製作(H19)の画像3