大学校及び設置科 近畿職業能力開発大学校産業化学科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 有機化学、無機化学、有機工業化学、基礎化学実験?・?、有機化学実験?・?、生物化学、生物化学実験、化学計算法?・?、工業化学実験、工業分析実験?・?
課題に取り組む推奨段階 有機化学、無機化学、有機工業化学、基礎化学実験?・?、有機化学実験?・?、生物化学、生物化学実験、工業化学実験、工業分析実験?・?を終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、高度な化学的現象や技術を総合的に理解し習得します。

製作の目的と概要

スルホンアミド類は比較的合成が容易で結晶性が良く初心者には取り組みやすいテーマです。また、合成目的の一つであるaliphatic sulfonamide(2)の抗菌活性は2007年に報告されたホットなテーマです。
講義や実習で学んだ断片的な知識を総合的に応用して目的とする有機化合物を合成し、その過程において発生する様々な問題を克服して、社会に出てから実地に応用できる高度な技術を体得させることを目的として、化合物群図1、図2、図3の合成を課題としました。
さらに、本テーマは、「sulfonamide類の構造と抗菌活性」を上位テーマにして、発表者を含む6人の実習生が個々の課題(末尾に記載)に取り組み、そのうち4人(合成グループ)が合計42のsulfonamide誘導体を合成し、2人の実習生(微生物グループ)が合計62化合物の抗菌力を測定しました。そして、実習生が相互に合成と抗菌活性の情報を交換し合って自分たちが合成した化合物の抗菌活性発現の機構について検討することを全体の構想としました。これは医薬品開発における新規有効化合物の探索研究の初期過程に相当するものであり、実習生が、医薬品に限らずファインケミカル業界における有用な新規化合物の開発に対する理解を深めることも副次的な目的としました。

成果

6人全員で、当初に計画した42化合物の合成と、62化合物の抗菌力試験を達成しました。
発表者個人には、化学反応式に基づく仕込み量の決定、反応条件の検討、抽出・再結晶・クロマトグラフィー等による混合物の分離精製、化学変換やFT-IRによる構造決定、互変異性体による混合物の生成など、高度な化学的現象や技術を総合的に理解習得させ、研究レベルの有機合成を体験させることができました。発表者が企業における化学関係のどのような業務についても、本校で学んだ知識を基に、自分で対処しようとする心構えと実力を身につけることができたと感じています。
加えて、実習生が協力してスルホンアミド類の抗菌活性発現の機構について文献調査と議論を行い、自分たちが合成した化合物についてどのような置換基が強い抗菌力を示し、また抗菌活性発現機構におけるどのステージで作用しているかを予測しました。
実習生達は、医薬品開発に限らず、農薬、化粧品、染料、塗料、界面活性剤、食品添加物、香料、などファインケミカル工業界の新規有用化合物の開発に対する理解を深め、それに携わる基本を身に付けたと思われます。
スルホンアミド類の合成(H20)の画像1
図1
スルホンアミド類の合成(H20)の画像2
図2
スルホンアミド類の合成(H20)の画像3
図3