大学校及び設置科 中国職業能力開発大学校 附属福山職業能力開発短期大学校電子技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 電気回路、電子回路、電磁気学、電気電子計測、センサ工学、電子回路実験、コンピュータ工学実習、電子CAD実習
課題に取り組む推奨段階 電子CAD実習およびコンピュータ工学実習修了後
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、電子回路・センサ回路の設計製作およびコンピュータ制御による計測技術、実験による検証および理論的考察を行う能力を身に付けます。

製作の目的と概要

本課題は、「金属材料判定用センサシステムの構築」というテーマで、基礎学科である電気回路、電磁気学、電子回路についての知識を応用した機器製作およびシステム構築について勉強する目的で課題の選定を行ないました。
電磁誘導作用を用いた検出素子の一つに渦電流式センサがあります。現在このセンサの応用として金属材料の品質検査や各種プラントにおける配管検査に用いられています。
本手法の原理は、図1および2に示すように、コイルに励磁電流として交流電流を流すとアンペアの法則に従って磁界が発生します。このコイルを導体に近づけると導体には電磁誘導によって渦電流が発生します。渦電流は導体の電磁気的特性による表皮効果によってその分布が変化し、コイルのインピーダンス(実数成分および虚数成分)を変化させます。この変化を電圧信号として捉えるのが渦電流式センサの原理です。よって非接触かつ高速な検査が可能であることが特徴としてあげられます。
そこで本手法の特性を用いた金属材料判定用センサシステムとして、励磁電流発生用「発振回路」、センサ回路用「演算回路・フィルタ回路」、信号収集および位相演算用「計測制御プログラム」の製作を行い、計測制御システムの構築および検証実験を行ないました。

成果

本システムはセンサコイル、発振回路、演算回路、電源、ディジタルマルチメータ(DMM)2台、データ収集用コンピュータから構築されています。作成した回路は、交流信号を発生させるウイーンブリッジ・オールパスフィルタ回路、発振回路とセンサからの検出信号をXおよびY信号の直流電圧信号へ変換する演算・フィルタ回路で構成されています。
データの収集には、検出信号である直流電圧値をDMMによって測定し、GP-IBボード(PCI-4310)を搭載したコンピュータによって測定データを収集します。DMM制御をするにあたって使用したプログラム言語は「Visual Basic(R) 2005 Express Edition」です。また、収集したデータはコンピュータへ「csv」ファイルとして出力する機能を有しています。
本実験では、磁性材料のステンレス(SUS430)と非磁性材料のアルミニウム(Al)を用意し、縦150mm、横150mm、厚さ0.5mmの板を試験体として用意しました。
センサコイルの励磁電流は発振回路から出力される信号を用い周波数200kHz、試験体とのギャップを0.5mmとして実験を行ないました。
表1に実験結果を示します。コイルに試験体が接近していない状態をairとし、検出信号および位相の値を比較しました。airとAl、SUS430ではX信号、Y信号および位相の値がそれぞれ異なる値をとることがわかります。またAlおよびSUS430においてもそれぞれの値に変化あり、この結果から金属材料の種類が判定できることが確認できました。
最後に、本課題に取り組んだ学生がそれぞれの担当分野において作業を行い、製作したものを一つのシステムとして構築したことは、個人の能力だけではなくチームとして行動する大切さも学んでくれたのではないかと思っています。
今後この経験をそれぞれの場で活かしてくれることを指導教員として望みます。
金属材料判定用センサシステムの構築(H21)の画像1