大学校及び設置科 北海道職業能力開発大学校建築科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 建築史、地域建築論、建築施工実習、建築施工図実習、建築設計実習、プレゼンテーション
課題に取り組む推奨段階 建築史、建築施工実習、建築設計実習、プレゼンテーションを学んだ後が最適です。
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、小樽地域の建築的特徴、応用的な実測図の作成方法、実測手法、詳細図の描き方、設計寸法の考察方法、実測図の作図手法を身に付けます。

製作の目的と概要

本実習課題では、江戸期から鰊漁で繁栄した小樽市祝津の漁家の建築実態調査を行い、その成果が地域活性化の一助になることを目指しています。鰊番屋の一つであった茨木家中出張番屋(小樽市祝津3丁目)の実測調査を行い、図面作成を通して建物の構造・漁家としての特徴・大工棟梁の系譜をとらえ、周辺の鰊番屋との比較によって歴史的建物として位置づけることが目的です。また今後、地区の集会施設に活用するための基本資料とします。
課題の取り組みの方法は、次のとおりです。(1) 茨木家中出張番屋の建築概要を既往文献で収集。(2) 茨木家中出張番屋の平面、断面の実測調査実施。(3)平面図、断面図の作成と写真の編集。(4) 他の鰊番屋との比較検討。

成果

実測調査は延べ9日間行いました。創建は明治末年とされていましたが(『小樽市の歴史的建造物』(小樽市教育委員会、1994))、本調査で発見された棟札に明治45年の記載があり合致しました。
建物平面の特徴は、周辺の番屋が玄関を親方と漁夫用の2つを並べるのに対し、本建物は1つで漁夫に供したことを窺わせ、土間を境に北は身分の高い漁夫、南側は雇漁夫の生活空間に分かれていることが分かりました。
小屋組は洋風のキングポストトラスで構成され、太い柱(300mm角)と小屋組筋違を組み合せた特異な形態になっています。祝津では他にない構造でありトラスを採用する過渡期の形態と見られます。大棟の両端に隅真束を設けて5本の合掌を支えて小屋の変形を防ぐ工夫を施していることも分かりました。
茨木家中出張番屋は平成21年度建設業と地域の元気回復事業の助成を受けて改修工事に着手することになり、本研究の実測調査の成果は改修工事における基本設計の基礎データに活用されています。
小樽市祝津の鰊漁家建築の実態調査(H21)の画像1
図1 茨木家中出張番屋外観
小樽市祝津の鰊漁家建築の実態調査(H21)の画像2
図2 茨木家中出張番屋実測平面図
小樽市祝津の鰊漁家建築の実態調査(H21)の画像3
図3 茨木家中出張番屋実測AA断面図