大学校及び設置科 職業能力開発総合大学校 小平キャンパス環境化学科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 有機工業化学(高分子の基本物性に関する知識)、分析化学、物理化学、機器分析法、機器分析実験
課題に取り組む推奨段階 有機工業化学及び機器分析実験終了後
課題によって養成する知識、技能・技術

研究課題を通して、環境中の有害物質除去に応用可能な機能性材料に関する知識と、実践的な材料開発技術を身につけます。

製作の目的と概要

DNA(デオキシリボ核酸)は、2本のDNA鎖が水素結合した二重らせん構造をとり、特異的塩基配列を有しています。
DNAのインターカレーションを利用した吸着除去材料の開発は、有害物質の吸着除去が容易になり操作性の向上が見込まれます。
本実習課題では、DNAの固定化法として、図1に示すような透析セルを用いたDNA膜の作製法について検討しました。
DNAとポリカチオンの混合溶液を種々のイオン強度(I)で調製し、透析セル中で純水に対して透析を行います。透析の進行に伴って、DNAとポリカチオン間で形成されるポリイオンコンプレックス(PIC)を、透析セルに挟んだ透析膜上に膜として析出させる条件について検討しました。実験条件として、透析時間、純水交換間隔、イオン強度、DNA濃度等を検討しました。さらに示差走査熱量計を用いてDNA
の融解温度を測定し、DNA膜の熱特性についても評価しました。

成果

イオン強度I=2.0の条件でDNAとポリカチオン混合溶液を純水に対して透析を行うと、溶液中の低分子イオン濃度の低下とともに透析膜上にDNAのPICが緩慢に生成することで、均一なDNA膜の調製が可能であることを明らかにしました。また、最適なDNA濃度と透析時間を決めることが出来ました。
図2は、透析セル中の透析膜上に白いDNA膜が析出している様子です。透析セルから取り出して純水中で洗浄すると、図3のようなDNA膜が完成しました。
 作製したDNA膜は、DNAの融解温度を約20℃も上昇させ、耐熱性の向上が確認できました。
透析セルを用いたDNA膜の作製と熱特性の評価(H22)の画像1
図1  透析セル
透析セルを用いたDNA膜の作製と熱特性の評価(H22)の画像2
図2 透析セル中で生成したDNA膜
透析セルを用いたDNA膜の作製と熱特性の評価(H22)の画像3
図3 DNA膜