大学校及び設置科 北海道職業能力開発大学校居住・建築システム技術系
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 建築環境工学1および2、建築設備、環境工学実験、木質構造施工実習・施工課題管理実習、応用仕上げ実習
課題に取り組む推奨段階 応用課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

課題を通して、主に問題解決型の製品開発プロセス、環境デザイン技法、実験計画法及び技術報告書の作製技術の実践力を身につけます。

製作の目的と概要

化石燃料の大量消費と自然の再生能力を超えた排気物質の排出が、地球規模での気候変動の原因として取り上げられており、民生エネルギー分野とりわけ家庭でのエネルギー消費量抑制は喫緊の課題として共有されるようになってきました。本実習では、住宅における暖・冷房、給湯エネルギーの消費量抑制を目的とした新規の環境調整システムを適用することにより、一人当たりのエネルギー消費量が500W以下になるような住宅を実現することをテーマとして設定しました。開発をとおして、工学的な研究開発の実施法、および開発プロセスの管理能力を習得していきます。
★技能・技術習得目標:
新規の環境調整システムの開発を通して、複合した技術・技能の習得とその活用能力(応用力、創造的能力、問題解決能力,管理的能力など)を養成します。具体的には、物理モデルの解析による環境調整システムの設計技術、木構造工事、内装工事、配管工事などを複合的に活用した製品の製造技術開発、試作品の環境暴露性能試験の情報を活用したドキュメント作成能力、発表能力の習得を目標にします。

成果

エラストマーでゲル化したn-パラフィンを蓄熱体に利用した日射蓄熱型暖房機を開発して、日射暴露・放熱実験を行ったところ、本装置6台を室内に設置して昼間の日射を蓄熱することで、一軒の住宅の夜間暖房需要を十分に賄えることが分かりました(図1)。また、同種の潜熱蓄熱材を二重窓ガラスに充填して開口部に設置したところ、日射利用により暖房需要を80%削減することができました(図2)。この蓄熱窓システムで、日射量の多い北関東地域以西では、ほぼ無暖房の住宅が実現できます。さらに、日射およびUVの遮蔽率が90%以上の高効率高耐候性不織布を実験棟に設置して、省エネルギー性能を測定したところ、外気冷房との併用で日最高室内温度を7℃程度抑制できることが確認されました(図3)。さらにデータ解析により、伝統的な住宅が夏期に使用していた日射遮蔽、外気冷房の環境改善・冷房負荷抑制効果を定量化することができました。これらの新規技術を用いれば、住宅における暖冷房エネルギーは大幅に削減でき、一人当たりのエネルギー消費量が500W以下の省エネルギー住宅が実用化できる可能性があることを、科学的に証明することができました。
★アピールポイント:
ポリテックビジョンで各試作機を展示したところ、一般や企業の方から多くの質問や驚きの声をいただき、研究開発の意義を再確認することができました。

※この課題情報シートには、学生が作成した予稿原稿が含まれています。
再生可能エネルギーを利用して持続可能性を高めた「500W住宅」の開発(H23)の画像1
図1 日射蓄熱型暖房機
再生可能エネルギーを利用して持続可能性を高めた「500W住宅」の開発(H23)の画像2
図2 PCMを用いた日射蓄熱窓
再生可能エネルギーを利用して持続可能性を高めた「500W住宅」の開発(H23)の画像3
図3 高耐候性不織布による日射遮蔽装置