大学校及び設置科 東海職業能力開発大学校 附属浜松職業能力開発短期大学校電子情報技術科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 組込みソフトウェア基礎実習、電子回路、デジタル回路、アナログ回路、マイクロコンピュータ工学実習、インターフェイス製作実習、組込みシステム工学、センサ工学、計測制御実習、移動体通信技術、機械工作実習、基礎製図実習
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

組込み技術、データベース及びWebサーバ構築技術、Webアプリケーション開発技術(PHP)、オープンプラットフォーム系アプリ開発技術、電子回路設計、モバイル系ネットワーク技術、機械設計技術、機械加工技術、データ処理技術、ユニバーサルデザイン

製作の目的と概要

1995年阪神・淡路大震災、2011年東日本大震災など過去に起きた大規模災害における災害発生時被災者の状況を把握するのに相当の時間が必要でした。災害発生時は、電源を含めたインフラの喪失などよって、ICT(Information and Communication Technology)が充分活用できないなど問題もがあり、本来ならICTの活用により迅速に被害状況、被災者情報を収集できるところが、インフラ等の復旧の遅れによってICTが活用されるまでに時間を要していました。また、災害の備えと言う面からは防災に力点が置かれ、阪神・淡路大震災後必要性が認識されつつも災害発生後の長期間の避難所の生活におけるQOL(Quality of Life)まで充分考慮されていない状況でした。
そこで、本課題実習では、東日本大震災において発生した避難所における人的管理・資材管理の難しさや問題点を教訓とし、今後の災害(M7以上)における迅速かつ効率的な避難所の運営を実現するため、ICTを用いた避難所管理システムのプロトタイプ開発に取り組みました。
★技能・技術習得目標:
大規模災害発生時(M7クラス以上の大地震)の避難所運営管理支援システムのプロトタイプ開発を通して、組込み型システム開発技術(Linux)、PHPによるWebアプリケーション開発技術、携帯情報端末向けオープンプラットフォームアプリケーションの開発、分散管理システムの設計、蓄電池に充電する自律型の太陽光充電システムを開発、製作及び組立・調整技術等総合的な実践力を身に付けさせるとともに、実際の現場での運用を想定した設計を行うことにより、問題解決技術、システム構築技術、スケジュール管理技術なども習得させます。

成果

図1に本システムの概要図を、図2に実際に製作したプロトタイプシステムの外観写真を示します。本システムでは、実際の避難所の運用を想定して、被災後電力インフラが不導通状態でもすぐ本システムを運用できるよう電源供給部は太陽電池と鉛蓄電池による太陽光充電電力供給システムとしました。また、本支援システムのメインサーバ自体の省電力化(5W以下)を図ることで、災害発生後、長期間稼働(4日間以上)できるシステムを実現します。本避難所支援システム自体を避難所に持ち込めるようにするため太陽電池と鉛蓄電池を取手付きのケースに収納させ、手軽に持ち運びできるデザインとしました。一方、メインサーバの省電力化手法は、PCを使わず組込み型システム(Linux®)を採用し、これにDB(Data Base)やWebサーバ、無線ルータ等の機能を搭載させることでメインサーバ自体の総消費電力を5W以下に低減し、本システムの稼働時間の長期化を図りました。
避難所にいる避難者の情報入力(氏名、住所、被災状況等)は、 避難者自身が所有する携帯端末(今回はAndroid端末を想定)から専用アプリケーションソフト並びに既存のWebブラウザソフトから容易にデータ入力できるようにするためソフトウェアの新規開発を行いました。これにより避難者の状況把握、不足物資の確認などを容易にし、避難所の運営負担を低減させます。また、この避難者の入力情報をもとに避難者数や救援ニーズを迅速に正しく把握することで、最終的には図2に示すように被害の大きい区域に自衛隊・消防等に救助の応援要求を、NPO団体等に対して食料物資の要求を出せるようにしていきたいです。
また、避難所における避難者の入退出が流動的に変動した場合でも避難者の入退出管理を迅速に行えるよう図3に示すようなNFC(Near Field Communication)チップ内蔵のリストバンドを用いた入退出管理システムを考案しました。つまり、既に避難者登録を済んだ人に対し、NFCリストバンドを配布し、腕などに付けさせ、避難所の入退出時にNFCリストバンドに書き込まれたUID(User Identifier)を瞬時にメインサーバ本体側に設置されたNFCリーダーで読み取ることで、従来の支援システムより避難者の入退出管理を迅速に行えます。
★アピールポイント:
本課題は株式会社ユー・エス・ピー代表取締役天城康晴様とアツミ特機株式会社代表取締役山口高男様との共同研究による成果です。成果内容(アピールポイント)をまとめたものを以下に示します。
? 独自に開発した組込み型メインサーバと太陽光充電電力供給システムの組合せによる連続稼働時間は、2バッテリ使用することで約4日間のため、災害発生時電力のインフラ断であっても直ぐに本システムを稼働できる
? 避難所に逃げ込んできた避難者の情報(氏名、住所、連絡先、被害状況等)を所有の各種情報端末
 (スマートフォン、携帯電話、パソコン等)からメインサーバに手軽に情報入力できる
? NFCリーダー(Near Field Communication)搭載により、避難所における避難者の入退出が流動的に変動した場合でも迅速に避難者の入退出管理が行える
ICTを用いた大規模災害時避難所支援システムのプロトタイプ開発(H25)の画像1
図1避難所支援システムの概要
ICTを用いた大規模災害時避難所支援システムのプロトタイプ開発(H25)の画像2
図2避難所支援システム外観写真
ICTを用いた大規模災害時避難所支援システムのプロトタイプ開発(H25)の画像3
図3 本避難所支援システムの最終目標