大学校及び設置科 関東職業能力開発大学校建築科
課題実習の前提となる科目または知識、技能・技術 Microsoft Excel?による表計算、ソルバー機能を使用した最小二乗法による回帰線の作図等ができることが望ましいです。
課題に取り組む推奨段階 専門課程2年
課題によって養成する知識、技能・技術

コンクリートの調合および各種試験方法の知識と技術を習得することができます。

製作の目的と概要

 フライアッシュを混合したコンクリートは、ポゾラン反応により圧縮強度については寄与しますが、耐久性(ここでは、中性化を対象とする)については、水セメント比が60%程度になると促進されることがあります。これは、水セメント比が大きいほどコンクリート組織の緻密性が小さくなり、CO2が透気しやすくなるためと考えられます。これらは促進中性化試験を行った場合であり、セメントやフライアッシュが反応途中の状態で試験を行っていることが一因として考えられます。
そこで、本研究では、自然な環境で中性化試験を行い、促進中性化試験との違いを調査しました。なお、コンクリートの中性化は、大気中のCO2がコンクリートに侵入し、Ca(OH)2と反応し、CaCO3を生成する現象であります。そこで、中性化試験に供した試験体より試料を採取し、X線回析分析(以下、XRD分析と略記)についても行いました。

★技能・技術習得目標:
この総合制作実習は以下の点についての技術・技能習得を目標として取り組みました。
? 実験計画、実施等の立案ができる
? CADによる図面の作成や使用作成ができること
? JIS等に掲載されているコンクリート供試体の作成や圧縮試験などの実験ができる
? 試験機や計測装置の操作、取り付け等ができる
? 産業廃棄物等の有効利用に関する知識を有することができる

成果

 本総合制作実習を通して以下の成果を得ることができました。
1) 屋内・屋外の試験と促進中性化試験とでは中性化深さが大きく異なっていた。前者はわずかに中性化していたのに対し、後者はかなり中性化が進んでいた。
2) XRD分析を行った結果、表面部分のCaCO3が中心部分に比べて中性化の影響により大きかった。一方、Ca(OH)2について、表面部分では中心部分に比べて小さかった。
★アピールポイント:
 建築分野においても環境に関することが大きな課題となっています。近年の電力事業において原子力発電所による発電が停滞するなか、安定供給性の観点から石炭を燃料とする火力発電方式が増加することが予想され、廃棄物であるフライアッシュが多量に排出されることが考えられます。そこで、フライアッシュをコンクリート分野への利用拡大を目的とし、フライアッシュ混合コンクリートの中性化抵抗性について促進中性化試験と屋内および屋外暴露試験に供し実験を行いました。さらに、フライアッシュを混合することでセメント製造時のCO2排出の抑制にもつながるため、本課題を通して環境に配慮した建築材料の特性を習得することができました。
フライアッシュを混合したコンクリートの中性化に関する研究(H26)の画像1
図1 フライアッシュ
フライアッシュを混合したコンクリートの中性化に関する研究(H26)の画像2
図2 促進中性化試験結果
フライアッシュを混合したコンクリートの中性化に関する研究(H26)の画像3
図3 X線回折分析装置