今年度の在職者訓練開発室は、「在職者訓練に関する調査研究・開発」に関する3テーマに取り組んでいますが、今回は、「在職者に対する高度なITの訓練に関する調査・研究」の取り組み状況についてご紹介します。
 近年の製造業は、顧客ニーズの多様化、価値創造の複雑化、グローバル競争における自社事業の強みの見極めなど様々な課題と相まって、競争上の新たな機会と脅威にさらされています。
 世界的に見ても、ドイツのIndustry4.0やアメリカのIICなど、第四次産業革命ともいうべき新たな技術への取組がなされ、日本においても例外なく対応が求められています。
 政府の調査によると、「IoTは、中小企業の経営課題を解消するための有効なツール」、「中小企業でもIoT活用への関心は高いが使い方が分からない企業が大多数」などといった結果がでています。また、別の調査によると、「工場のIoT化にむけ組織としてどんな活動をしているか」との質問に対し、約35%が「特に何もしていない」と回答し、「その他、分からない」を含めると、回答した企業の半数が積極的な取組を行っていないことになります。それを裏付けるように、企業ヒアリング調査においても、現場からの「生産性向上に資するIT導入に係る提案」が挙がってこないとの意見がありました。これは、現場における当該分野に関する知識、技能・技術の不足が起因すると考えられます。
 人口減少下において、経済を持続的に成長させるためには、「労働生産性の向上」が不可欠であり、これらの維持・向上に資する人材の確保・育成が重要となっています。
 先に述べたように、労働生産性の向上に効果がある取組みとして、IT化が挙げられる一方、人材不足が指摘されており、IT人材の育成の強化・加速化に向けた取組(現場におけるITスキルの底上げ等)が求められています。
 このため、工場の生産ライン等の高度化を促進するための、ものづくり分野に係るITに関連した在職者訓練コースを検討、開発し、試行訓練を実施し訓練コースを検証することとなりました。

 主な取り組みは以下のとおりです。
  ①ITに関連したものづくり分野の訓練ニーズのヒアリング等による把握・分析
  ②訓練コースの開発および分野ごとのスキルアップ体系の検討
  ③試行訓練の実施
  ④開発した訓練コースの有効性・課題の検証・コース設定及び実施プロセスの整理・普及

 コース開発に先立って、職業大、研究会委員が中心となり、首都圏、中京圏、近畿圏に所在する企業、業界団体にヒアリング調査(18業界団体・企業)を行いました。
 ヒアリング調査より得られたキーワードを以下にまとめました。


  • ヒアリング調査結果から抽出されたキーワード

 ヒアリング調査や各種技術動向などを踏まえ、生産現場で従事する方々全体の基盤技術力向上を目指し、研究会において、カリキュラムやスキルアップ体系の検討を行いました。


  • 開発コースのスキルアップ体系(例)

 今回開発したコースのうち、試行実施するコースのカリキュラムや概要については以下をご覧ください。

実施施設 開発・対象コース
高度ポリテクセンター
(千葉県千葉市)
パソコンによる高性能フィールドバス利用技術
(平成29年10月19日 開講)
RTミドルウェアによるロボットプログラミング技術
(平成29年11月7日 開講)
ポリテクセンター関東
(神奈川県横浜市)
タブレット型端末を利用した通信システム構築
(平成29年10月以降 開講)
ポリテクセンター関西
(大阪府摂津市)
スマートデバイスによるPLC制御技術
(平成30年2月1日 開講)
ポリテクセンター中部
(愛知県小牧市)
オープン通信インターフェースを活用した多様なデバイス
情報収集技術(ORiN編)

(平成29年2月27日 開講)

※受講を検討される方は、各ポリテクセンターへお問い合わせください。