施設訪問記

「新潟県立三条テクノスクール」を訪ねて

北陸ポリテクカレッジ

(北陸職業能力開発大学校)

滝本 貢悦

1.歴史ある金物の町,三条市

 今回訪問した新潟県立三条テクノスクールは,新潟県の中央部に位置し,日本一の大河である信濃川と清流の五十嵐川が合流する地点に開かれた河口都市三条市にあります。三条市は,古くは信濃川の河口町,定期市場町,また仏都として栄え,中越地方の一大商業地でありました。現在では,県央地域を中心エリアとした商圏人口29万人を抱える三条・燕商圏の中核商業都市として発展しています。また,産業面においては金属製品を主体とし,作業工具,刃物,金型などの各製品が有名で,300年の歴史を持つ「金物」の製造を通じて培われた伝統の“技”として受け継がれています。

2.設立60年間近の伝統ある施設

 三条テクノスクールは,新潟県内に設置されている5校の県立テクノスクールの1校で,昭和21年「三条金工補導所」の名称で設立され,鍛造科50名で始まりました 。その後4回の改称を重ね,平成3年「新潟県立三条テクノスクール」となり現在に至っています。開校以来,県央地域の特性に合った知識や技術を身に付けることができる教育訓練施設として,1万1千人余の修了生を送り出し,地域の産業等で活躍しています。また,昭和30年代に地元鍛造,プレス,金型業界の60社余で協力会が結成され,当校の各種支援や業界の従業員研修そして業界のニーズに合った人材育成に努めるなど,地元に密着した訓練を着実に推進してきました。現在は,在校生のインターンシップ(実務実習)の実施等に際して協力をいただいています。

3.待望の新校舎が完成

 平成15年春,従来あった場所からほど近いところに新校舎が完成しました。三階建ての白い校舎や体育館はまわりの緑に映え,ひときわ目だつ建物です。正面玄関を入ると,広い三層吹き抜けの明るいホールが目を引きます。実習場や教室も訓練をするうえで使い勝手のよい工夫がなされており,教育訓練環境は最高の施設といえます。

 新校舎完成に伴い設置科も再編成を行い,2年制の普通課程3科(メカトロニクス科,工業デザイン科,生産システム科)と6ヵ月の短期課程2科(OA事務科,溶接科)の合計5科とし,高度な専門知識と高い技術を併せ持った新時代の技術者の育成を目指して新たにスタートしました。

 このほかにも,事業主が自ら従業員に行う教育訓練の支援のために,在職者を対象とした技能向上コースとしてマシニングセンタ,プレス加工,パソコン表計算などのセミナーを実施しています。

4.特色ある教育訓練内容

 5科ある中でも今年度新設の工業デザイン科は,3次元CAD/CAMを使ったモデリングや機械加工を行い,地場産業に密着した日用雑貨品から工業製品の立体デザインなどを実践的に学ぶことを特色としています。カリキュラムは,デッサン等平面表現技術やモデル作りによる立体表現技術,モデル作りに必要な工作機械の操作技術,そしてデザインした製品のよさを相手に理解させるマーケティング・プレゼンテーション技術を習得します。この工業デザイン科は全国的にも少なく,地域の企業に注目されています。また,より教育訓練内容を充実したものにするため,長岡市にある長岡造形大学の協力を得て幅広い能力を身に付けた工業デザイナーを育成しています。

 現在,1期生が学んでおり,各実習で制作した作品を4点写真で紹介いたします。

(1)スチレンボードを使用した課題

(2)ワイヤーを利用した動物の造形

(3)銀粘土(PMC)によるアクセサリー

(4)CADのモデリング

 またメカトロニクス科は,従来のNC機械科のメカニクスに,新たにエレクトロニクスを組み合わせた学科で,時代に対応する精密加工やプログラミング技術,自動制御技術を学びます。カリキュラムは,プログラマブルコントローラ等を用いた空圧・油圧・自動制御技術やマシニングセンタ,NC旋盤,ワイヤーカット放電加工機等のプログラミングおよび製品加工の技術,そしてNC工作機械等を使用して,プレス金型およびプラスチック金型の設計・製作の技術等を習得できる専門学科や専門実技で構成されています。

5.技能五輪全国大会で活躍

 「第41回技能五輪全国大会」が平成15年10月に新潟県で開催されました。全国から選ばれた34職種,約900名の次代を担う若者たちが「モノづくり」に対する夢と希望を膨らませ,技能水準の向上・躍進を目指して熱い戦いが繰り広げられました。

 三条テクノスクールの6名の生徒も早くから出場への準備を進め日ごろの実習や放課後,そして夏休み期間の特訓を重ね旋盤やメカトロニクスの職種の競技に出場し活躍しました。成績としては入賞には至りませんでしたが,目標に向かって一生懸命取り組んだ経験は,きっとこれからの職業生活にも生かされるでしょう。生徒の日ごろの練習や大会当日の様子はNHKが取材し,地元で放映されたということです。さらに,出場した選手に対し,地元大企業から求人があるなど三条テクノスクールの教育訓練成果をPRする好機となりました。

6.施設訪問を終えて

 今回は東ブロックの編集委員等が訪問させていただきました。自然環境に恵まれた広い敷地に新たに生まれ変わり,時の経過とともに周りの風景に馴染んできた感じがしました。施設内を見学させていただき,NC工作機械,産業用ロボット,レーザー加工機など最新の機械設備で実践的な教育訓練をうける環境が整っているとともに,カリキュラムも企業のニーズを汲み取って,複合的で即戦力となる工夫がなされていると感じました。また,どの科も関連資格の取得を強力にサポートするなど生徒の学習意欲や就職に有利な取り組みが参考となります。

 今学んでいる1期生が,あと半年余で社会へ巣立つことになりますが,地場産業が集積している県央地域を担う技能者として活躍してくれることを期待したいと思います。

【謝辞】

 今回の施設訪問に際し,大変お忙しいなかを施設の説明や案内をいただいた,三条テクノスクールの坂内英二校長,開発援助課の淡路幸二課長,各科の指導員の方々に,この場を借りて厚く感謝申し上げます。