職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年6号 通巻第272号
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-22-技能と技術 2/2013 企業の視点でよく議論される考え方であるが,就職活動でも活用できる考え方である。 就職がなかなか決まらない学生は選択ができていない。そのため力が分散し,なかなか成果がでない結果となっている。 例えば違う業種や職種をいろいろと受けるような場合である。 就職の目的や目標が定まらないまま活動する結果,いくつもエントリーシート・履歴書を作成しつづけることになる。 選択肢が多くなればなるほど逆に決められないという結果になっているようにみえる。 東京をはじめとする首都圏近郊では業種や職種も多く,企業数も多い。このため志望先を決めることそのものが難しくなっている。 一度決定しても,再考するともっと自分にあった良い企業や仕事があるのではないかと不安になるようだ。 ただし,一方では明確に志望先を絞って行動する学生もいる。 絞り込みがうまくできている学生も入学前から志望先企業を決めていたわけではない。 実際に企業見学に参加したり,そこで働くビジネスパーソンからうまく話しを聴くなど,インターネットや書籍だけにとどまらない情報収集を実践しているところに特徴がみられる。 学生が業種や職種を絞り,志望企業を決めるプロセスには実際の現場を見たり,情報収集をすることは,非常に重要なことと考える。 インターンシップを必須として実施しているが,比較検討をすることも意思決定には重要な要素であり,そういう意味でも学内会社説明会や内定者・OB社員との懇談会,さらには学外の企業説明会などにも就職を視野に入れて積極的に参加する行動を重ねることが必要となる。 東京経営者協会の働く現場見学会では,全学生を対象とする働く現場見学会(バスツアー)などに参加したが,現場からの学びは大きいと感じられた。9.投資と回収の視点 学生は小平校専門課程と応用課程の4年間にわたって,時間をかけて多くの専門知識を学んできている。4年間で5,600時間を超える学習する。しかも,出欠にも厳しく,所定時間の80%を超える出席時間が求められている。 長時間にわたって学ぶ内容はいずれも企業の生産現場で使用される機器を扱う実践的な内容である。 また,学生の専門性を結集してものづくりに挑戦するワーキンググループ学習での学びは,専門性の向上はもちろん,チームワークや仕事マネジメント力といった知識にとどまらない能力に気づく機会になっている。 こうした教育訓練・学習の成果を社会に還元していくためには,就職活動で評価される力を身につけていく必要がある。 就職活動も日本語がわかればなんとかなるという安易な発想で,何も準備をしないで就職活動をしたらうまくいかないであろう。 日本語を使っている人はすべて日本のビジネスで成功するわけではない。 また,就職活動はハウツー本も多く,ノウハウとして公開される技術もあるが,小手先の技術では厳しい就職戦線で生き残れないだろう。 小平校では,ノウハウとして就職活動力をつけるのではなく,将来どう「あるべきか」,どう「ありたい」のかを考え,実現できる職業人としての基礎能力を高める支援を行っていきたいと考えている。 専門技術育成のために多くの時間を費やしており,そういう意味においては投資をしているわけで,それを回収するために就職支援を行う必要があると考える。 個人の努力だけでは難しい就職活動を乗り切る実力は「人間力を高める」ことではないだろうか。 現在「キャリア形成論」や「職業社会論」「生涯職業能力開発体系論」などの科目があるが,ビジネスに有益な基礎力であるコミュニケーションやプレゼンテーション,ロジカルシンキング,問題解決力

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