職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年6号 通巻第272号
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-24-技能と技術 2/20131.はじめに1.1 市立舞鶴市民病院からの依頼内容 進行性筋疾患対象者のADL(日常生活動作)支援は,対象者自身の残存機能を最大限に利用するようさまざまな方々(担当医,理学療法士,作業療法士,家族,公共機関,企業)とのチーム連携により考案1),2)および実施されている。 市立舞鶴市民病院リハビリテーション科は,さまざまな運動機能障害,運動能力低下を持つ対象者に対し,残存機能やADLの維持・拡大のための機能訓練,環境整備ならびにその家族への支援を実施している。 近年,対象者の家族間ならびに対象者同士のコミュニケーション手段は,パソコンや携帯,スマートフォンなどの情報端末を利用する機会が増えている。そのためADL支援の現場スタッフは,さまざまな対象者から,情報端末を利用した将来の残存機能に適応した福祉機器開発の要望(ニーズ)を耳にしている。しかしながら,現場スタッフでは,対象者からの要望に応えうる専門知識や技術を有しておらず,実際には,福祉機器開発メーカや教育研究機関などへの協力をお願いしている。 今回の依頼内容は,ある対象者が実際に現在も自宅で利用しているオーダーメイドな福祉機器(上昇下降テーブル)の改良についての技術相談である。 当校としては今回の依頼に対し,市立舞鶴市民病院は別途福祉機器開発予算もなく人員体制にも限りがあることを考慮し,「技術相談支援」として受けることとした。よって今回の取り組みによる成果物はあくまでも試作であり,最終的には上昇下降テーブルをオーダーメイド製作したメーカに対し,舞鶴市民病院から試作物を提案していただくことに至っている。1.2 対象者の状況 現在対象者は,フルリクライニング可能な電動車椅子を利用している。そのため,図1のような「上昇下降テーブル」上で,食事やパソコン,読書,携要約 平成23年7月1日,市立舞鶴市民病院リハビリテーション科から当校に対し「進行性筋疾患対象者の日常生活動作を支援する福祉機器に関する技術的相談について」の依頼があった。依頼内容は,ある対象者が利用しているオーダーメイドな福祉機器(上昇下降テーブル)の改良である。 本稿は「総合制作実習」の一環として,平成23年度は電子情報技術科卒業生の中尾 蘭奈とともに対象者とのヒアリングを計7回経て,既存スイッチボックスと比較し重さ1/12,容積比約38%減となるコンパクトなスイッチボックスを試作したこと,平成24年度は電子情報技術科卒業生の大田 愛梨,吉田 遙とともに対象者とのヒアリングを計11回経て,音声認識モジュールを利用した下位コントローラーを試作し,上昇下降テーブルの制御および音声認識を検証したことについての報告である。近畿職業能力開発大学校付属 京都職業能力開発短期大学校 電子情報技術科藤本 周央進行性筋疾患対象者のためのADL支援に関する報告スイッチボックスの軽量化および音声認識モジュールを利用した下位コントローラーの開発

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