職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年6号 通巻第272号
9/54

-7-魅力ある職業訓練について2る指導員と受講者の相互信頼関係を土台に,「ジョブ・カード」を使った指導員の相談支援力の強化は,全体として就職意欲の向上に繋がるとの期待があった。 (急激な雇用・失業情勢の悪化) 本取り組みを推進した平成20年度から平成22年度は,リーマンショック以降の急激な雇用・失業情勢の悪化を受け,佐世保公共職業安定所管内では,有効求人倍率が,平成19年度「0.64」,平成20年度「0.54」,平成21年度「0.38」と最悪の雇用情勢であり,従来どおりのやり方だけでは年度計画における就職率の目標値を達成することが難しい状況であった。そのため,これまでの組織的なキャリア形成支援,就職支援に加えて,受講者1人ひとりの就職意欲を高め,自ら積極的に就職活動ができるように,これまで以上にきめ細かな就職支援体制を構築することが必要となっていた。 (ジョブ・カードの普及,啓発の取り組み) 平成20年度より,ジョブ・カード制度が始まり,機構も当制度の普及啓発の一翼を担うこととなった。 ジョブ・カードは職務の棚卸しや今後の目標を明確にするための有用なツールであり,キャリア・コンサルティングを通じて「自己理解」「仕事理解」を深めるものである。まず,最初の取り組みとして,指導員・職員に対して計画的にジョブ・カードプレ講座を行い基礎的な知識,技能の付与を行った。さらにジョブ・カード講習を受講し,ジョブ・カードを活用したキャリア形成支援・就職支援の実施体制を構築していった。 (個別支援の強化と,未就職者対策の強化) 在所中に就職の内定がもらえない者も多く,修了後も未就職者への就職支援フォローアップに努めた。そのために,指導員と受講生との信頼関係の構築を重点課題とし,修了後も気軽に相談に来られる体制を作るとともに,電話等での声掛けの頻度を大幅に高めた。指導員によるジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングは,受講者との信頼関係を強化することに大いに役だった。 また,電話等をする際には,最新の求人情報等,相手が喜びそうな情報を提供するような取り組みも行い,相手の立場に立って情報提供をしようとする機運が広がったことも,本取り組みの成果であると推察している。3.取り組みのねらい ジョブ・カードを活用した指導員によるキャリア・コンサルティングの取り組みは,次のような成果を意図して取り組んだ。⑴ 入所して間もない時期に,指導員と受講者が個別に相談する機会を作ることにより,相互の信頼関係構築(ラポート)の機会とする。⑵ 受講者は,入所してすぐにジョブ・カードを完成させるため,就職に対する自己理解が深まり,就職意欲の向上に繋がる。⑶ ジョブ・カード様式2「職務経歴」から,「職務の中で学んだこと,得られた知識・技能」をまとめることにより,受講者は,自己の強み・弱みを意識しながら訓練を受講できる。⑷ 様式3「キャリアシート」により,就業に関する目標や希望を,言語化して記述することにより,明確化ができる。 ジョブ・カードは,受講者が早期再就職をするために用いる,ツールの1つと位置づけ,支援活動の到達目標は「受講者の就職」とした。キャリア・コンサルティングを受けることによって職業意識やキャリア形成上の問題点を明確にし,自らのキャリア形成の方向付けが就職に繋がるよう心掛けた。4.活動のステップ⑴ 「ジョブ・カードプレ講座」を計画し,計画的に研修を実施した。(1回1時間(放課後16:00〜17:00)計7回を計画,実施)⑵ 「ジョブ・カード講習」を受講し登録した。⑶ 受講者に対するキャリア形成支援,就職支援のスケジュールの中に,「各科指導員によるジョブ・カードを活用した個別相談」を組み込み組織的な取り組みとした。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です