職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年3号 通巻第273号
16/43

-14-技能と技術 3/2013り,「就職ができない」「行き場がない」状況にある。また,就職・アルバイトをされている人が37%と一番多く占めているのは,一般で就労されている人が,職場において困難な状況にあり,「その原因として,自分に発達障害があるかもしれない」という本人からの相談や,「(同僚や部下に)発達障害があるかもしれない」とその対応に悩む職場の人からの相談が大半を占めている。職場における具体的な相談内容は,以下である。【本人から】・仕事が覚えられない・何度も同じ失敗をする・時間がかかる・複数のことがあると優先順位がつけられない・伝票や報告書がうまく書けない・同僚や上司とのコミュニケーションが取れない・挙動不審にみられるようだ・指示に応じているのになぜ怒られるのかわからない  …など→注意や叱責を受け続ける。努力してもよくならない。そういえば,小さい頃から同じようなことが「発達障害かも…」【職場の人から】■職場における不適応・指示をしてもできない(やり方を変えない)・繰り返し教えてもできない・怒る,パニックになる,言い訳をする,ぼ〜っとしている   …など■本人への理解と対応がわからない・本人が困っているが…・本人は認識がないが…・周囲が疲弊してしまう  …など→注意や指導をするが変わらない。インターネットで調べると「発達障害かも…」 インターネットをはじめとするメディアの普及啓発も相まって,「発達障害」の言葉が広く知れ渡ってきている近年,トスカへの相談も増加する一方である。そのなかで一般の職場においても,「社会性」や「コミュニケーション」に困難がある人=(イコール)「発達障害がある人」といった認識に繋がることが多く,「『アスペルガーじゃないか?医者に行って来い』と上司に言われた」と本人が医療機関の情報を求めてくるケースも増え,安易に障害名が使われている現状を知る。本人にかかわる周囲の人が,本人に“できなさ”を認識させる→(その原因に障害があるはずと)受診をすすめる→障害者へ,といった一方向の流れを生みやすく,結果的に本人を障害者として追い詰めてしまうケースもあり,発達障害が周知されてきた一方で,名前だけが勝手に一人歩きし,本人への理解や支援に繋がらない,排除へと追いやられていく現実も危惧されるところである。 「わかりにくい障害」と言われるように,診断名がつけられても対応につながらず,依然として「どうしてできないのか」「できるはず」と理解されないことから誤解を受け続け,適切な支援に繋がらないケースもある。それは障害者雇用の状況においても少なくない。トスカにおける就労にかかわる相談の実態から,障害者支援に繋がっていても同様な状況にあることもわかってきた。つまり,「障害特性のみ」に支援者自身が囚われたり,支援者の“見たて”や“見とり”違いから,本人が求める支援とのミスマッチを起こすケースと,かかわりの部分で躓き,支援がスムーズにすすまないと支援者自身が苦慮されるケースも少なくない。 支援については,発達障害に特化したスキルが確立されているわけではなく,個別に実態をとらえ,対応を工夫していくことが必要になる。面談や活動を通して,本人の物事や状況,人への認識のあり方や感じ方を知り,そのつど本人と一緒に確認しながらすすめていくことができるか,かかわり続けることができるか,支援は支援者との関係性がネックになると感じている。 就労にかかわる多様な相談を受けるなかで感じることは,本人と本人にかかわる周囲の人との関係性がどうあるか,そのありようが本人と本人にかかわる人の生きにくさ,疲弊の増減に大きく関係してい

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です