職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年3号 通巻第273号
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-17-障害者に対する職業訓練2を切り離された。「〜ができない」と指摘されることが,特に対人態度や社会性のなさに焦点を当てられることが多く,それは自分でもわかっていること,“できないこと”を指摘されて辛かった。自分にとっては,「就労すること,働くこと」=「生きること,人に認められること」だから,生きることを否定されたようだった。○「障害特性」ばかり指摘する人には,話ができない。できないことが,「障害特性」からくるものと自分でもわかっている。求めれることが「わからないしできないことなので,どうしたらいいのかがわからない」。「わからない,困っている」自分の気持ちをわかってもらえない。○「障害」について,理解してもらえないことから「同じ地球人としてではなく,宇宙人としてみてほしい」という当事者もいるが,自分は「同じ人間」として対応してほしい。○履歴書の書き方を教えてもらって助かった。今更聞くこともできないこと,わかって当たり前だろうということを,改めて教えてもらえることができて良かった。○頑張っていることをわかってもらう人がいない。自分が頑張っていること,できていることに対して声をかけてくれると安心する。自分でも,頑張っているのか,できているのかがよくわからない,実感ができない。いつもできないことばかりを指摘され続けてきたので,何ができているのかが自分でもよくわからない。○「〜しなければならないこと」が多い。日常生活においても気になることや不安なことが多いので,常に気を張っている。プログラムについていくことで精いっぱい。相談できる人,安心できる時間や環境があるといいが,自分から言うことができない。実際の仕事(職場)はもっときついだろうから,ここで頑張らないといけないと思っている。○自分の振る舞いがおかしいと支援者に指摘された。自分でも直そうと思って練習をしているが,うまくできない。そのことが気になって,他の仕事を忘れてしまう。一事が万事でうまくいかないことばかりになる。 就労を見据えた支援には,社会の基準に合わせようとする一方向的な支援,社会化・社会性に焦点を当て「本人を変えさせる」方向に偏りがちになる。支援を進めていくうえで,「本人が求める支援」と大きくズレていくことを危惧した相談内容も少なくない。そのズレに早く気づくことができるか,支援者側が客観的に事実をとらえ,柔軟に対応を考え工夫していくことが求められる。ジョブマッチングだけではなく,まず基本は,本人にとって適切な理解と対応ができる“人”とのマッチングが必要になる。適切な理解は,支援者が一方的に決められるものではなく,本人と確認をしながら課題の整理を行う,そのためにはかかわるなかで互いを見知っていくことが必要になるため,相談関係なくてしては,支援は成立しにくい。また,健全に働いている本人の心理機能にまず着目すべきこと,より具体的な状況で,本人にフィードバックをすること,本人が自己認知できる体験を強化することが重要になる。本人が自ら考え実行し自身に気がつき,人がかかわるなかで 安心して“できる体験”を重ねることから,自発的・意欲的に生きること,心理的健康性の活性化に繋がっていくと考える。就労支援は,『社会参加』への支援ととらえ,本人の認識や状況に合わせた,個別的な,また多様な支援のあり方が必要だと感じている。 「支援者にわかってもらいたいこと」について,当事者Sさんがイラストで示したものを以下,本人の了解を得て紹介する。

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