職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年4号 通巻第274号
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-19-ものづくり人材の育成に向けた取り組み1の力を必要とすることがわかった。この結果をもとに,パンチの選定を行った。すると現行の形状に使用できる寸法の圧縮バネではこの規格を満たせるものがないことがわかった。そのため,部品の設計変更,またはパンチを持ちあげるための機構を考える必要がある。⑨本人の感想 機構設計技術,機械材料特性,3次元CADや分析に関する固有技術を短期間で基本を修得できた。専攻科に入学するまでは改善に対し意識が薄かったが,改善を実践することで,改善するための手段やストーリーを勉強できた。VE手法を実践することで,機能に着目して具現化していくモノづくりの楽しさを実感することができた。 また,オーダーメイドカリキュラムを進めるに当たり,企業側の指導担当の方を始め,周囲からの協力があって進めることができた。仕事を進めるうえでも連携や助け合いができる環境の構築が重要で,そのために自分の考えを伝える,相手の考えを聞くコミュニケーション能力が不可欠だと再確認できたということであった。 就職後は,社内のQMサークルのリーダーとして,この治具に対して分析を継続し,パンチを原反から抜く機構を考案した。現在は穿孔動作の工程能力を検定し,現場に於いて効果の確認を行っている。5.おわりに 震災から2年が経過し,全体の復興のステージもだいぶ変わってきたように思える。 復興庁による「東日本大震災からの復興の状況に関する報告(平成24年11月22日)」によると,産業・雇用については,・広域でみた被災地域全体の鉱工業生産については,震災前の水準並みで推移。・津波浸水地域の鉱工業生産は回復しつつあるが,本格的な産業復興が課題。とある。 実際問題として,震災後に沿岸部から流出した将来の地域の担い手となり得る若年者人口が戻ってくるまでであったり,震災前に当然とされていたサプライチェーン・マネジメントのレベルに回復するまでには長い時間が必要だと思われる。民生の復旧はもちろんであるが,産業活動の復興には長期の年数を要すると思われる。 そのため産業界においても再構築が急務であり,これまでの延長線上として取られてきた産業や経済の復興施策だけでは地域産業は衰退してしまうと考えられる。 そうした状況において,各企業で現在まで築き上げられてきた人材育成の考え方やビジョンについて,①そのDNAをきちんと次世代に継承することが重要であると思われる。 また,今後ますます激化するであろうグローバル競争やそれらに伴う新興国の市場成長,新興国市場の成長,原料価格の高騰など,大きなうねりとなってわが国の製造業を取り巻く環境が変化するなかで,地方の中小製造業は,社員の1人ひとりの成長が求められる半面,企業の枠を超え,②より強い地域づくりが必要であると思われる。 専攻科では開設以来,企業の多様なニーズに応えるエンジニアを養成してきたが,これまで県内の沿岸部では内陸部に比べ,高度な技術を修得する場が少なく,また震災で被災した沿岸部の企業が技術向上のための従業員教育を行うことが難しいという現状がある。 「産業再生の推進」と「産業の担い手となる高度なリーダー人材の育成」は車の両輪であり,地域のモノづくり産業は,技術革新や自立創造型企業へ向けたソリューションサポートシステム環境の整備と同時に,それを担う技術人材の育成が不可欠となっている。今後,本県沿岸部を中心とする産業振興分野の復興にとっても必須になると思われる。 職業訓練の貢献は,短いスパンで効果の早い技能訓練による復興支援の部分と,長いスパンでの人材育成による復興支援の両面があると思われる。当校も本県や国の復興を支援し,産業活動の活性化に貢献するため,持続的・長期的な視点から,地域で活躍できる将来的なモノづくりリーダーを育成してい

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