職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年4号 通巻第274号
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-30-技能と技術 4/2013 確かに最新の科学技術は,出来上がった製品については非常に魅力的な物が多いが,一方で,一般的な若者や子どもたちにとっては,仕組みがあまりにもわかりにくい「ブラックボックス」で,延いては「理科離れ」といった状況まで起きてきているのだと思う。これは,将来の科学技術における基礎研究や応用技術の発展にとっては,やはり由々しき事態ではないだろうか。 しかも,「日本の御家芸」とも言える「ものづくり」の現場においては,中小企業等の昔気質の職人による「ものづくり」の現場と,理工系の大学・大学院を出て携わる大企業の研究所をも兼ね備えた(次々と新技術導入を図ろうとしている)建築学系や(主にコンピュータ関連・家電製品・携帯電話等の)電子工学系,(主に創薬関連の)基礎医学・薬学系等の専門的で高度な技術を要する工場の「ものづくり」の現場とでは,同じ理化学工業系の「ものづくり」の現場といっても,明らかに性質が違っていると思う。 つまり,「ものづくり」と一口に言っても,全く性質も体制も異なる2つの現場が存在するわけで,そして,そのどちらもが「ものづくり」にとってはなくてはならない存在であるにもかかわらず,うまく連携を取り合って融和できているとは必ずしも言えないところが,これからの未来の「ものづくり」の大きな問題点であるように思えてならないのである。 「経験と熟練に基づくものづくり」と「専門的学問に基づくものづくり」とは,そもそも両立できない存在ではあるのだろうが,日本の「ものづくり」を将来さらに発展させたいというのであれば,例えば「専門的学問」を受けた者が,「経験と熟練を必要とする現場」の体験学習を試みたり,あるいは「経験と熟練」の現場の者が,専門的研修を受けたり,といった相互体験と相互理解の方策(「ものづくり現場」の「相互インターンシップ制度」)が,大いに必要になってくるのではないかと思う。 そして,その相互理解をもとに,お互いの現場で新しい発想を生み出す「発想の転換」こそが重要になってくると思うのである。また,延いてはそのことが,「科学技術基本計画」で「50年間にノーベル賞受賞者30人」との「数値目標」を掲げているわが国のすべての人たちの「理科離れ」解消の元にもなると思うのだが,いかがだろうか。塾講師中川 祐一「ものづくり」と「発想の転換」について

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