職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年4号 通巻第274号
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-39-若者達に伝えたいかに企業が最高最強の教育機関だとしても,教育対象者である,新たに社会に出てくる学生達の質が伴うことが大切です。つまり学生生活を終わり,どのような意識で社会に出てくるのか,その就職観が問題です。 しかしながら長年にわたって採用活動にかかわってきた私の経験によれば,誠に残念ながら学生達の就職活動,就職意識は間違っていると思います。本稿では,なぜそのように思うのか,私が考える“就職とはどういうことなのか”を,主に最高学府たる大学の卒業生の実態を参考にして述べたいと思います。2.若者達の就職にかかわる実態2.1 新規卒業者の就職実態 長引く経済低迷の中で,各学校の学生課や就職センター部門などが,卒業する学生の就職率向上に悪戦苦闘しています。就職シーズンともなれば大学生達は授業に集中できず,学生課や就職センターの指導とは別に,自らインターネットや会社訪問を通じて会社情報を収集し,就職試験に応募するなどで,多くの時間を就職活動に消耗しています。その数は少なくても数十社,多い人は100社を超えて訪問しているという状態です。そのような厳しい就職活動の結果,卒業までに内定を得た学生の比率,つまり就職内定率を第1図に示します。 このグラフから大学生の場合,特に厳しかったといわれる平成12年3月卒業生を含めても,毎年90%以上の学生達が卒業前に内定を貰っていることがわかります。見方を変えれば,大学を卒業し就職を希望しても,毎年10%弱の若者達が,卒業後の就職先を見つけられずに社会に出てきているということでもあります。そこで就職関係者はこの状況を“就職氷河期”などと表現しています。しかし長年にわたって新卒者の採用にかかわり,毎年大学生と接してきた私の経験から言えば,入学しても学ぶ意欲は低く,アルバイトや部活に多くの時間を割き,学ぶことより卒業単位取得にしか関心のないような学生が多い最近の大学生でも,その90%以上もの学生が在学中に内定をもらえるというのはきわめて高い就職率だと思います。 当社が国際貢献の一環として毎年インターン学生を迎えている南米コロンビアの学生達は,貧しい中で苦労しながら必死に勉強している人が多く,それでも業務経験のない新卒学生の就職はほとんど不可能だといわれています。入学は容易でも卒業は難しいといわれるアメリカでも,取り柄のない新卒学生の就職はきわめて厳しく,教育熱心で進学競争の激しい韓国,上昇指向が強く意欲的に勉学に励む中国の学生達にとっては,氷河期などと表現されている日本の就職環境は楽園のように写ることでしょう。 一方,表1,第2図,第3図は,平成25年8月7日に文部科学省から公表された,平成25年度学校基本調査結果(速報値)で,最近の大学生全員の進路・就職状況を示しています。第1図 高校生・大学生等の就職希望者の就職内定率の推移(厚生労働省 若者雇用関連データ,高校生・大学生等の就職内定率の推移より)*1)大学生の就職内定率とは,就職を希望している大学生の内,各年4月1日現在の,就職が決まった大学生の比率*2)高校生の就職内定率とは,学校やハローワークに相談した高校生の内,各年3月末日現在の,就職が決まった生徒の比率,これを各大学や新聞などが就職率として発表し,就職に強い学校かどうかの比較に使われたり,就職環境の良し悪しの指標に使われたりしています。

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