職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年4号 通巻第274号
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-40-技能と技術 4/2013 第1図は卒業時就職を希望する者に限った就職率データでしたが,表1,第2図,第3図は卒業生全体に対する就職内定率を示しており,多少改善されたという平成25年3月卒業生でも,学士で67.3%,修士課程修了者で73.7%,博士課程修了者では65.9%ときわめて低い数字です。なかでも問題なのは,第1図に見た就職希望を持ちながら就職できなかった人を含む安定的な雇用に就いていない人,つまり「正規の職員等でない人」と「一時的な仕事に就いた人」および「進学も就職もしていない人」が,全卒業生に占める割合は実に20.7%にもなっているということです。 少子高齢化の中で,次代を担う数少ない貴重な若者達の20%以上もの人達が,卒業後の居場所も決まらないまま,あるいは不安定な状態のまま社会に出てきて,日々をどのように過ごしているのでしょうか? 環境が人を育てるという観点から考えると,不安定な環境の中にある,あるいはやるべき仕事もなく暇を持て余している環境は最悪で,それを個人の自由な生き方の問題だと言って放置しておくのは,本人にとっても社会にとっても将来に禍根を残す大きな問題だと思います。 世間には,若者の就職率が向上せず,安定的な就職ができない原因は経済不況,その結果として採用人数を絞る企業に責任があるという意見があります。私はそのことをあえて否定するつもりはありません。しかしながら本分である学びを忘れ,アルバイトや部活に多くの時間を割き,進学の目的も定かでなく,卒業単位取得が学生生活であるかのような誤解をしているようにみえる最近の学生達。結果として学士にふさわしい基礎学力や年齢相当の人間力がないばかりでなく,なかには生きる意欲さえもなく,社会に出るに当たってはその心構えも,認識も,働く意欲もなく,就職を部活への入部と混同しているかのように感じられる最近の若者の多さに危機感さえ覚えます。就職とは,社会人になるとはどういうことか,考えたこともないように感じられます。そのことについては後で述べましょう。2.2 内定を得て社会に出た若者達の就職後の実態 それでは卒業までに内定を得て就職した若者達の,その後の動向はどうでしょうか? 第4図は厚生労働省が発表した,平成22年3月卒業生のその後の状況を示すデータです。 この図によれば,就職超氷河期などといわれる中で,中学生や高校生はハローワークや学校を通じて,また大学生は学生課や就職センターなどの支援に加えて学生自身も就職活動に悪戦苦闘し,やっと就職したにもかかわらず,多くの若者達がいとも簡単に最初の就職先を離職している実態がわかります。就職後3年以内の離職率は,中学,高校,大学表1 最近の大学卒業生全員に対する就職率の推移表(文部科学省平成25年度学校基本調査の表4より)第2図 最近の大学卒業生全員に対する就職率の推移グラフ(文部科学省平成25年度学校基本調査の図6より) 第3図 一時的な仕事に就いた者,        進学も就職もしていない者の推移(文部科学省学校基本調査の図9より)

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