職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.48 2013年4号 通巻第274号
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-7-ものづくり人材の育成に向けた取り組み1し,初めて専攻科の学生を採用する企業は,このオーダーメイドカリキュラムの対応に不安のある企業があるのも事実である。 そのため,オーダーメイドカリキュラムの成果報告として3月に一般公開でプレゼンテーションを行うが,9月と12月にも中間報告を行い,その際にオーダーメイドカリキュラムに連携している企業の方に一堂に会してもらい,企業連絡会として会議を併催している。そこでほかの企業のオーダーメイドカリキュラムの進捗状況や取り組み方法などについて情報交換を行っている。4.オーダーメイドカリキュラム実施事例4.1 事例1(洋野町の企業からの派遣者)テーマ:「VE手法を用いたウニ殻剥き作業の効率向上を目指した自動機の改良とウニ殻破砕機の開発」①はじめに 岩手県北沿岸部の洋野町にある株式会社岩本電機からの企業派遣として在籍した者が取り組んだテーマである。 洋野町はウニ漁が盛んでもあり,洋野町産のウニをPRする「ウニまつり&マリンフェスタinひろの」などのイベントも行われている。 洋野町は,東日本大震災において震度4を記録したものの,自主防災組織等の適切な対応により,幸いにして人的被害はなかった,しかし住家の全壊,半壊はもとより,基幹産業である漁業は,漁場,漁業施設等に壊滅的な被害を受け,特にも「ウニの里」としてブランド化を図りつつ「つくり育てる漁業」の象徴であるウニの生産基盤が危機的状況にあった。 また,漁船漁業の中心である定置網が損壊し,サケ漁の操業が危ぶまれているほか,地場企業として雇用の場である水産加工場が壊滅的な被害を受け,苦境に立たされている現状であった。 このような状況の中,今回の大震災で被害を受けた町民の生活再生,産業の復興と災害に強いまちづくりを最重要課題と位置づけ,一日も早い復興を成し遂げるために策定した,「洋野町震災復興計画」の目標の中にも「ウニの里と地域産業の復興」が盛り込まれている。 株式会社岩本電機はハーネスなどの製作が主な事業内容だが,このウニまつりの復活に向けて,ウニの殻剥き作業に注目し,専攻科で履修している5源主義手法による品質の改善を展開し,「VE手法を用いたウニ殻剥き作業の効率向上を目指した自動機の開発」を行った。 オーダーメイドカリキュラムを実践することにより,機械設計,機械加工,組付け,PLCによるシーケンス制御など設備製作に係る固有技術の修得と併せ,デザインの具現化として,開発・設計段階から一連のモノづくりの流れを実践し,復職後社内の従業員教育として展開することが目標となった。②テーマの開発背景 テーマの背景としては,漁協組合の方々がウニを収穫した後,ウニの身を取り出し,さらに殻を運搬・処分する際にムダが見られる。現状ではウニの実の取り出しは1つずつ手作業であり,殻を処分する際に足で踏み潰すなどしながら体積を小さくし運搬・処分している。このような現状を踏まえ,ウニの身の取り出しと殻破砕機の開発を行った。③ウニ殻剥き作業について ウニ殻剥き作業とは,ウニ殻を割り中身を取り出す作業があるが,今回はそれとは違い図4に示すようにウニの口部分を円形に切り取る(殻剥き)作業である。このように円形に切り取られた状態で,お図4 円形に切り取られたウニの殻

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