職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.49 2014年1号 通巻第275号
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-28-技能と技術 1/20141.はじめに 訓練大学校(現職業能力開発総合大学校)の機械実習場には,前回(Ⅲ報)で紹介した少数歯インボリュートはすば歯車装置のほかにも学生によって製作されたおもしろい機構が数多く展示されていた。その中でも動きや形状がおもしろく興味を持ったものの1つにサイクロ減速機がある。サイクロ減速機は,約30年前に同大学校の故佐藤晃平先生(機械科助教授)らによって実施されていた機械科3年次の応用実習の課題(歯車減速機の設計製作)で作られ,その後佐藤晃平先生の卒業制作でも作られていた。その減速機の内部に使用されているサイクロイド歯車の製作には,実習場に導入されていた初期のNCフライス盤を駆使されたとのこと。そのNC工作機は,径補正機能を持たないため,非常にNCプログラムに苦労されたことが推測される。サイクロ減速機は,サイクロイド歯車とピン歯車および偏心軸の回転を伝達する平行クランク機構から構成される。遊星歯車の装置と同様な動きをするため,当時大変ふしぎに感じ興味深かった。私自身も平成19年に専門課程の総合製作実習の課題として取り組み,学生と共にものづくりの楽しさを体験した。 歯車は機械を構成する重要な機械要素であることから,職業訓練関係の機械系の応用訓練課題にも歯車を取り入れた装置が多く取り上げられ,歯車の設計や加工について学習が行われている。歯車としては,インボリュート歯車とサイクロイド歯車は代表的なものである。インボリュート歯車は,ホブ盤やギヤシェーパで簡単に製作できることから,多くの訓練課題として取り上げられてきた。代表的な訓練課題として,油圧ポンプ,減速機,巻き上げ式ウインチなどがあげられる。一方,サイクロイド歯車は,時計などの精密機械や高粘度の歯車ポンプに使用されるが,軸間距離が厳しく,形状加工にはNC加工機が使用されるため,あまり訓練課題としては,採用がされてこなかった。しかし,サイクロイド歯車を使用した装置は,機構的にも非常におもしろいものが多く受講生や専門課程の学生にものづくりの興味を持たせ,訓練の動機づけに良い教材になると思われる。また,CAD/CAMの進歩によりサイクロイド歯車は簡単に制作できるようになってきている。 そこで,サイクロイド歯車を用いた装置のおもしろさを知ってもらうため,サイクロイド系内接式歯車ポンプとサイクロ減速機の製作事例について紹介する。2.サイクロイド歯車2.1 サイクロイド曲線 サイクロイド歯車の歯形は,外サイクロイドと内サイクロイドで構成される。図1のように,O1を中心とする半径aの円1(導円)上を半径bの円2が外側を転がるとき,転がり円上の点Pが描く曲線を外サイクロイドと呼び,内側を転がるとき,描く曲線を内サイクロイドと呼ばれる。両サイクロイド岐阜職業訓練支援センター幾瀬 康史「おもしろ機構」工作室Ⅳ−サイクロイド系歯車装置の製作−

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