職業能力開発技術誌 技能と技術 Vol.49 2014年1号 通巻第275号
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-38-技能と技術 1/2014者や面接官から応募者役の学生に返された。応募者役はもちろん,ほかの役の学生も異なる角度から応募者役を観察できて勉強になったと思う。長く考え込んでしまう学生もいたが,質問がわからないときは聞き返したり,答えがまとまらないときは少し考える時間がほしいと伝えるなど,黙り込んでしまわないように指導した。2.2.5 グループディスカッション 昨今の就職の選考では,初期段階でグループディスカッションを取り入れる企業が増えている。ディスカッションの形式は,その業界で起こる出来事について詳しく条件設定されたケーススタディや,自由討論,インバスケット,ディベートなどさまざまである。当校ではグループによる実習が多く取り入れられており,日頃の授業で比較的多くの話し合いの場が持たれている。そこで,授業では特に社会人としてのふるまいが求められることを伝え,異なる科の学生を1つのグループにして,初対面のメンバーとディスカッションするように設定した。 ディスカッションのテーマは,就職活動や今後の仕事に関係するものも多いが,今回は2回ともマーケティングに関するテーマを取り上げた。1回目は「東京都を訪れる外国人客を倍に増やす戦略を考えなさい」,2回目は「冬にアイスクリームを2倍売る戦略を考えなさい」というテーマである。同じようなテーマを繰り返したのは,ディスカッション練習の効果を学生に実感させたかったためである。 まずグループディスカッションについてのビデオを20分見せた後,5,6人のグループに分かれて1回目のディスカッションを30分行った。話しの進め方については特に指導せず,リーダー,記録係,発表者などの役割決めも各グループの自主性に任せた。ディスカッション終了後に,グループごとにうまくいかなかった点を洗い出し,それを全体で共有して改善策をまとめるように指示した。時間配分や,話が分散してしまい深まらないなどの反省点があげられた。改善策として,総時間をもとに事前に時間配分を考えて話し合うことや焦点を絞って話を進めることなどが指摘された。 2回目は,事前に,論理的に話をすすめることや30分だと1人何分ぐらい話せるのかなど,ディスカッションの進め方について授業を行った⑸。ディスカッション終了後,グループごとに配置した講師から積極性や協調性などの項目について個別にフィードバックを行った。話し合いを始める前に学生から,「売る地域を限定しなくてもよいか」とか,「利益は考えなくてもよいか」など,テーマをどう捕らえて話し合うかについての質問が出てた。また,ディスカッション終了後の感想では,2回目のほうがリラックスしてできたという学生が多かった(図2)。 後日,何人かの学生からグループディスカッションの選考試験で力を発揮し,他大学の学生から感心されたという話を聞いた。模擬的に実施したディスカッションが,学生の就職活動に役だって良かったと思う。3.学生アンケートの結果 「生涯職業能力開発体系論」の授業の前後(2011年10月7日と2012年2月24日)で,就職活動に必要な知識やスキルについて,学生の感じ方の変化を調べるアンケートを実施した。表2に質問項目と授業前後での評定点の平均値および平均値の変化率(=(授業後の評定点—授業前の評定点)/授業前の評定点×100)を示す。10項目の質問項目のうち,問1〜問3は就職活動に取り組む意欲を問う項目,問図2 グループディスカッションの一例

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